2020/07/17 09:53
こんにちは。mugikoです。
今回は世界のビールに関する法律についてお話しします。
世界最古のビールについての法律は、シュメール文明のあとに
同じメソポタミアに栄えたバビロニアの時代に記録があります。
「目には目を歯には歯を」で有名なあの「ハンムラビ法典」に、
ビールについての厳しい決まりがあったようです。
例えば、
「ビアホールではビールの代金を穀物以外で受け取ってはならない。
交換した穀物よりビールが少なかったり、穀物の代わりに銀を受け取ったりした女は溺死刑」
「ビールを水で薄めて売った者は溺死刑」
「自分の酒場で、客が反乱や犯罪などの計画を相談しているのを見つけた時は
彼らをとらえて王宮に連行しなかった女主人は死刑」
「尼僧は決してビアホールを経営したり、立ち寄ったりしてもいけない。
ビールを飲んだ尼僧は火あぶりの刑」
など、物騒な法律だらけです。
「尼僧」「女主人」など、女性に対する法律が多いですね。
これは当時のメソポタミアでは、ビールの醸造や販売は
女性の仕事だったことが関係しているのではないでしょうか。
サビツムと呼ばれる女性達がビールを造り、
クバウと呼ばれる女主人達が「ビットシカリ」というビアホールを経営していました。
ビールの守護神も女神だったそう。
そもそもの発祥が自宅で造り、自宅の酒場で飲ませる形式でした。
後の大量生産がその風習を後退させ、男性の職業になったようです。
そしてなぜこんなにビールに対して厳しかったのかというと
古代のメソポタミアでは給料の一部としてビールが支給されることもあるほど、
ビールは通貨と同等の価値を持っていたからです。
紀元前3000年代のメソポタミアでは
労働者は1日1リットル、下級役人は2リットル、
上級役人と宮廷に仕える女性は3リットル、
最高地位の役人達、僧侶には5リットルのビールが割り当てられました。
そのために、ビールに関する条項が多くあるのだそうです。
そして、現代でもビールに関する色々な法律があります。
日本では合法ですが多くの国で規制対象になっているものでは
「公共の場での飲酒」があります。
例えばアメリカでも、自宅の庭でのパーティーや
レストランのテラス席以外の屋外では、原則お酒を飲んではいけません。
テラス席があるパブやレストランでも、出入り口には「この先飲酒厳禁」の表示を
一歩でも外に出てお酒を飲んだ場合「公共の場での飲酒」にあたり、罰せられてしまいます。
日本では普通に行われているバーベキューやお花見で、
河川敷や公園などにシートを広げてビールを飲む事は犯罪になってしまうのです。
それでもバーベキューなどをしながらお酒が飲みたい人には
「飲酒指定エリア」が用意されているので、その場所を活用するようにしましょう。
また、たとえ飲んでいなかったとしても、
未開封のビール缶を持って歩くことも違法です。
お酒を持ち歩くときは、袋に入れなくてはいけません。
購入したお酒を車内の手が届き目に見えるところに置くと罰せられることもあります。
お酒は購入したら必ずトランクスペースにしまいましょう。
アメリカでお酒を購入する際は、現地の人でも必ず身分証明書の提示が義務付けられており、
証明するものがない場合にはお酒を買うことが出来ません。
またお店側も、レジスタッフが21歳未満の場合には、お酒を売ることが出来ません。
アメリカでは州により独自の法律があることも多いですが、
その中には変わったものもあります。
ミシシッピ州の「象にビールを飲ませてはいけない」
オハイオ州では「魚を酔わせるのは違法」
ユタ州の「緊急事態にアルコール類を売るのは違法」など。
国によってはお酒を販売するお店が限られていて、販売時間にも制限がかけられています。
例えばオーストラリアでお酒を買うなら、基本的にはアルコール専門店で買うことになりますが
それらのお店の営業時間は22時までと決められています。
ほかの国でも特別な許可を受けているお店以外は営業時間が短いことが多いようです。
イスラム諸国では飲酒自体「違法」となります。
国によってその厳しさは違いますが、
アルコール入りの化粧水すら持ち込めない国や、
飲酒すると非ムスリムの外国人でも鞭打ち刑に処される国もありますし、
お酒を持ち込もうとしているのを空港で見つかると強制送還されることもあります。
ただ、観光が盛んな国では外国人に限りホテルのバーなどで飲酒可能なようです。
いくつかの国では少量なら飲酒運転が許可されています。
ドイツでは21歳以上の無事故の自家用車ドライバーの場合、
血中アルコール濃度が0.05パーセント未満であれば飲酒運転で罰せられることはありません。
オーストラリアでは血中アルコール度数0.05%までOK。
大体(お酒に弱い方でなければ)ビールをコップ3杯程度。
車でなければ移動できないエリアが多いことも理由のようです。
スペインの場合は、呼気1リットル中アルコール量0.25ミリグラムまで
(初心者は0.15)なら大丈夫だとか。
これには個人の差があるので、売店などで検査剤を売っているんだそうです。
これは、遺伝的にヨーロッパ人はアジア人よりアルコールに強く、
少量の飲酒で運転に支障をきたすほど酔っぱらってしまうような人が
ほとんどいないことと関係しています。
日本人の場合、ビールを一本飲んだだけでもその基準を超えてしまう可能性が十分あるので、
飲まないのが懸命です。
逆に、デンマークで飲酒運転をした場合は、
自動車運転免許剥奪と最低でも月収1か月分の罰金が課せられるそうです。
さらに、罪を犯した運転手の車はレッカー車で没収されて、
その後オークションにかけられます。
そしてもちろんその売り上げは国ものになります。
そこまでしたら、みんな絶対に飲酒運転しないように気をつけますね。
イギリスではライセンスを与えられた場所(パブやバー)で酔っ払うのは違法です。
中でもイングランドとウェールズでは80ポンド(約1万円くらい)の
罰金が科せられることもあります。
とはいえ、ただ陽気に酔っ払うだけで問題になることはなく、
酔って「治安を乱す行為」や、自分で自分の面倒を見られなくなるほどの
泥酔をしない限りは問題になる事はないようです。
「お酒は飲んでも飲まれるな」ということでしょう。
ジェントルマンの国らしい法律です。
ロシアでは2011年までアルコール度数10%以下は「酒類」でなく「食品」扱いだったそうです。
ほとんどのビールが「食品」扱いでした。さすがウォッカの国ですね。