2021/04/15 10:40
先日、ビールの製造販売も手掛ける大手酒類メーカー各社は、アルコールの含有量を%だけではなく「g」でも表示する取り組みを始めると発表しました。そもそも、日本酒や焼酎は「度」、ビールをはじめワインやリキュールなどは「%」など、お酒によってアルコール割合の表示が異なるため、よくわからない…という人も多いのではないでしょうか?今回はアルコール量表示の理由と、度と%の違いについてひも解きます。
アルコール含有量をg表示する理由
大手酒類メーカーが、ビールをはじめとする酒類のアルコール量を「g」表示するよう決定した背景には、近年の健康志向が関係します。厚生労働省が提言する「健康日本21」では
通常のアルコール代謝能を有する日本人においては、節度ある適度な飲酒として、1日平均純アルコールで20g程度である。
と明記されています。ポイントは「通常のアルコール代謝能を有する」という部分。お酒が強い人は、もう少しアルコールを摂取したい人もいるでしょう。お酒があまり強くない人は、毎日20g以下のアルコール摂取にとどめるのがベターです。アルコールへの耐性には個人差がありますが、「もう少し飲めるかも…」くらいの酒量を守るのが大切です。
また、生活習慣病へのリスクが高まるとされる1日のアルコール摂取量は、男性が1日あたり40g、女性が20gです。このように理想的な一日の平均アルコール摂取量や生活習慣病へのリスクとなる1日のアルコール量は、gで判明しています。一方で、市販のアルコール飲料のアルコール量が度や%では、消費者にとってわかりにくいですよね。
そこで、多くの消費者が、安全に楽しく長くお酒を楽しめるようにと、ビールや酎ハイなど一般的なアルコール飲料商品に含まれるアルコール量をgを開示することになったのです。
各メーカーのアルコール「g」量開示方法
開示の方法は、企業によって異なります。例えば、アサヒグループホールディングスは2021年3月中にビールや缶酎ハイのアルコール量をg表示で自社サイト内にて順に開示予定です。6月までを目安に、国内での主要取り扱い商品すべてのアルコール含有量を開示すると発表しています。サントリーホールディングスは、2021年内に主要酒類のアルコール量開示を自社サイトにて取り組む意向です。
また、キリンホールディングスでは、2024年までに商品パッケージにアルコール量のg表示を記載する考えです。サッポロホールディングスも2025年までに、商品パッケージへの記載を始める予定です。
具体的なおすすめアルコール摂取量
1日どのくらいのアルコール摂取量が理想的なのかについては、アルコールへの耐性やライフスタイルも関係するため個人差があります。健康日本21での提言や生活習慣病へのリスクを踏まえると、男性で20~30g、女性は15~20g程度ではないでしょうか?
アルコール5%のビールを例にすると、350mⅼ缶・1本でアルコール量は14g、500mⅼ缶・1本では20gです。ビールの晩酌が日々の生きがいという人は、このくらいの量の飲酒を心掛けられるとよいでしょう。
また、アルコール15%程度のワインなら、グラス2杯・100mⅼ程度、アルコール度数25%程度の焼酎なら、1合・100mⅼ程度で、アルコール20gとなります。
アルコール%・度数の違い
ビールをはじめ洋酒は、アルコールの割合が%で表示されている一方、日本酒や焼酎は度数で表示されています。この違いがわかりにくいため、ビールも日本酒も楽しめるような場では、自分がどのくらいアルコールを摂取したのかわからなくなる人もいるでしょう。
アルコール%とアルコール度数は、全く同じ意味で使われています。飲み物の全ての量を100とした場合、含まれるアルコール量は「〇/100」として、お酒の強さを示しています。何に%を使って、何に度を使うかについては、明確な線引きはありません。外国から伝わった酒類は%、日本独自のお酒は度、と覚えておくとよいでしょう。
お酒の量(ml) × アルコール%・度 × 0.01 = アルコール量
ビールをはじめお酒の種類を問わず、上記の式で計算すると、アルコールがどのくらい入っているのかgで知ることができます。飲みすぎかなと気になる場合や健康にお酒を楽しみたい人はこの式と「1日20g程度」という節度あるアルコール摂取指標を目安にすると良いですね!