2021/06/16 19:57
ビアテイスティングでは、外観・フレーバー、そしてアロマ(風味)が特徴を明確にすることが大切だと考えられています。ビール用語には、アロマを表す言葉がたくさんありますが、用語だけを耳にしても、そのアロマのイメージが膨らまないこともあるでしょう。
今回はビールのアロマを表現するビール用語を解説いたします。
スワリングでビールのアロマを感じよう
ビアテイスティングでアロマを深く感じるためには、スワリングが必須です。スワリングとは、ワインのテイスティング過程と同じように、円を描くようにグラスをまわして、グラスの中で液体を回転させることです。ビールのテイスティングでもスワリングさせることで、ビールが酸素と結びつき、香りが立ち上がりやすくなります。
この際に、感じられる香りをアロマと呼びます。フルーツビールなどのフレーバービールでは、風味づけに使われた副原料の香りがするものですが、麦芽と水とホップだけで造られたビールでも、そのビール独自のアロマがあるものです。
こうしたビールのアロマをいくつかご紹介します。
ビールのアロマに関する用語
ビールのアロマを表現する言葉でも、コンテストやビール通がビールを品評する際などに一般的に使われる用語を紹介します。知っておくと、誰かにお気に入りのビールを紹介するときや初めて飲むビールの風味を想像するときに役立つでしょう。
◇ホップ
ビールの原料であるホップには、殺菌・抗菌作用とビールの透明度をあげる清澄作用があります。もう一つ、ホップが重要な役割を担っているのですが、それがビール特有の風味づけです。
ホップの風味はフレーバーでいうと、苦みと清涼感があげられます。アロマとしては、ハーブらしい非常にさわやかな香りが特徴です。また、ホップとひとくくりにされがちですが、品種によって、大まかにアロマホップ・ファインアロマホップ・ビターホップの3種類に分かれます。
アロマホップの香りは「ビールならではの香り」ともいえ、ビールの口当たりを想像させるような清涼感ある華やかな香りです。ファインアロマホップは、アロマホップの香りをもっとまろやかにした上品さを感じるでしょう。一方、ビターホップは主にスタウトに使用されるホップの種類でフレーバーの苦みを担う部分が多く、香りはそれほど強くありません。
◇モルト香
モルトは、麦芽のことを表します。代表的なアロマの表現の一つで、意味はモルトの香りの状態や香ばしさを表します。麦芽の乾燥状態が強いほど、アロマは香ばしいモルト香になるといわれています。
例えば、トーストやビスケットのような淡い香ばしさのアロマなら、さらっと乾燥させた淡色麦芽。一方、カラメルやチョコレート・コーヒーのような深く強い香ばしさなら、シッカリ乾燥させた濃色麦芽が使われています。
◇エステル
エステルはバナナやリンゴなどフルーツのような甘くさわやかな香りを指します。フレーバービールの中には、こうしたフルーツが副原料として使われている場合もありますが、フレーバービールではなくても、多くのビールにはエステルを感じるものです。
ビールのエステルは発酵中に生まれる揮発性の香りです。そのため、一般的には上面発酵のエールビールの方がより強くエステルを感じられます。ビアスタイルによっては、邪魔物扱いされることもあるエステルですが、ホップ・モルト香とあわせて、ビールの香りの個性を構成する「三つの重要素」と考えられています。
◇オフフレーバー
ビールに取って、不要な風味、油っぽさや酸っぱさをオフフレーバーと呼びます。オフフレーバーは主に、チーズやバター・コーンなどに近い風味ですが、原因として考えられるのは、副原料だけではなく、酵母の発酵不良や汚染菌などの製造工程の不手際、酸化や長時間日光にさらされたなど、開栓後の状況の影響と考えられています。
ビール独自のアロマはフレーバーにも直結します。知らず知らずのうちに敏感にかぎ分けて、好みのアロマがするビールを選んでいるものです。
ただし、アロマは、アロマ同士の相性で打ち消し合う場合があったり、そもそも、ある一定以上の香りの強さがないとかぎ取れなかったりするものです。だからこそ、アロマの個性を感じられたときは、鮮烈な印象を残すビールとなるでしょう。本日の一杯から、スワリングとアロマのかぎ分けにチャレンジしてみませんか?