2020/11/06 16:13
こんにちは。ビールを通してヨーロッパの習慣に興味を持ち始めたmugikoです。
皆さんは「オクトーバーフェスト」でビールを運んでくれる女性が
胸元が大きく開いた衣装を着ているのを見たことがありますか?
この服装はディアンドル(Dirndl)といって
ドイツ南部バイエルン地方からオーストリアにかけて着られていた民族衣装です。
どんな服なの?
元々は前開きで襟ぐりの深いブラウスの上に、大きく胸元の開いた短い袖なしのボディス(胴衣)と
ロングスカート、さらにその上に前掛けタイプのエプロンを着けるのが伝統的な構成要素です。
ボディスはボタンやホック、紐で締めあげるタイプなどがあります。
スカートは、無地やチェックなどのシンプルな柄が多く、エプロンは浅青色が基本です。
木綿やウール素材を使って作られています。
ちなみに、ブラウスは胸の下までの丈なので、お腹には直接ボディスを着ることになります。
左にエプロンの腰ひもの結び目があるときは未婚の印、右にある場合は既婚。
前は子供、後ろ結びは未亡人やメイドのものとされています。
現在はあまり気にしない人もいますが、ドイツで若い女性が後ろ結びにしていると
見知らぬおばさまに「若いのに苦労したのね」と声をかけられることもあるとか。
現代では若い女性を中心に、アレンジされたものが人気があります。
伝統的なスタイルよりもコルセットのような胸を強調するボディスと膝丈のスカートに、
色鮮やかなエプロンを合わせたものを見ることの方が多いかもしれませんね。
装飾性の高いものも出ており、ベルベットやシルク素材で作ったり
ボディスとスカートを合体させてワンピースにしたりすることも多いようです。
また、結婚式などで白いディアンドル風のウエディングドレスを花嫁が着ることも。
名前の由来は?
「ディアンドル」の「ディアン(Dirne)」とは「お嬢さん」という意味です。
農村から街に出稼ぎに出ていた若い女性たちが着ていたことから、
「ディアンドルゲヴァンド(Dirndlegewand)」(お嬢さんの装い)と
呼ばれていたのを短くしたとも、
彼女たちを「ディアンドル」と呼んでいたのが、
そのまま衣装の名前になったとも言われています。
同じく労働着であるメイド服(これはイギリス由来)にどことなく似ているのも納得ですね。
農村ではお嬢さんだけでなく、子供からお年寄りまで色々な年齢の女性が着ていたそうですよ。
労働者以外も着るようになったのはいつ?
「ディアンドル」は元々、女性労働者の洋服でしたが、
1870年ごろに上流階級の女性たちがサマードレスとして生活に取り入れるようになりました。
高価な生地や、刺繍のあるものはこの頃から登場したと言われています。
またチロル風の伝統的なデザインを取り入れたことも人気の理由となり、
「ディアンドル」は労働者の洋服から貴族の日常着として変化していきました。
男性が着ているのは?
同じ地域で男性が来ている衣装は「レーダーホーゼン(Lederhosen)」と言います。
直訳で「皮のズボン」という意味で、その名の通り、肩紐付きの皮製のハーフパンツです。
黒い鹿革製で、裾などに緑の刺繍が入っています。
基本的には裏革を使用しますが、無地の表革を使うこともあるそうです。
このズボンの特徴的なところは、前開き部分が水兵ズボンのように
手前にめくれるようになっており、
左右のボタンやファスナーで留めるようになっていることです。
元々は山岳地方で働く農夫たちの作業服でした。
皮は、布よりも強く、汚れにも強いため重労働に適してることから使用されることになったそう。
肩紐は共革製や、別の黒い革製が一般的です。
幅広で前胸部分がH型になっており、胸当て部分は肩紐よりもやや広いものが多くなっています。
胸当てに花の刺繍が施されていたり、県や州のワッペンなどが付けられているものもあります。
肩紐全体にチロリアンテープの様な刺繍が施されたものは、オーストリアやスイスに多いそうです。
伝統的には綿製か麻製の白いシャツに深い青色のネクタイを締め、胸当ての下を通しますが、
現在は色や柄のあるシャツに、ネクタイをしないことの方がほとんどです。
ハイソックスは灰色のウール製で上部に緑の二本線が入っており、黒のハーフブーツを合わせます。
帽子は緑のフェルト製で、その上に飾り紐を巻き、ヤギの毛の飾りを止めています。
上にジャケットを重ねることもあります。
女性用のレーダーホーゼンもあるので、ディアンドルだとフェミニンすぎて抵抗のある女性は
こちらを着てもいいですね。
どこで着られる?
インターネットで購入したり、ドイツ旅行の時にはレンタルショップを利用したり、
日本でもオクトーバーフェストでレンタルや販売をしていることもあります。
子供も大人も同じデザインなので親子でお揃いも可愛いですね。
皆さんも、イベントや旅行の際に着てみてはいかがですか?